zillagodのブログ

国内旅日記 ~自転車旅・登山・徒歩旅行~

大雪山~トムラウシ縦走登山② 北海道最高峰と巨大なカルデラ縦走路

 少々間が空いてしまったが、過去旅日記を再開しようと思う。

 

前回はこちら

zilla-g.hatenablog.com

 

旭岳

  2016年8月11日、縦走の旅は大雪山最高峰である旭岳への登りから始まる。三日間の中で、この登りが一番急できつい。縦走の始まりは、だいたい急登から始まる。見晴らしの良い稜線にでるためには、どうしても高度を稼がなければならない。

 旭岳の山頂は、標高2291メートルである。登り始めの姿見駅は標高1600メートルであるが、すでに森林限界を越えている。本州において、この標高で森林限界を越えることはそうない。森林限界が低いということは、北海道登山で注意しなければならない点である。森林限界を越えると、日差しを遮るものがなくなり、強い紫外線を浴びる。ときには強風の中を行動しなければならない。標高が低いからといって、侮ってはならない。

 旭岳山頂への登りはきついが、難所と呼べるところはない。姿見駅からは二時間程で到着する。一歩一歩確実に行けば、山頂にはたどり着ける。山頂には、日帰りの軽装の登山者が大勢いて、賑やかだった。西には旭川市街が見え、南には二日後に達する予定のトムラウシの山頂がうっすらと見えた。まるで王冠のような形をしている。

 

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旭岳山頂

旭岳からの下り

 旭岳山頂からは、間宮岳・北海岳・白雲岳へ続く縦走路に進む。山頂から一旦下るが、途中に雪渓がある。表面の雪は融けつつあり、アイゼンはいらない。シリセードできそうだが、露出した岩などがあるかも知れず、危なそうなのでやめた。

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旭岳山頂下の雪渓

 雪渓を過ぎると、高山植物の花々が咲き乱れるところに出る。チングルマなど本州でも見られるものもあるが、エゾコザクラといった北海道特有のものもある。エゾコザクラは紫色の小さな花を咲かせていて、緑の草とのコントラストが美しかった。

 

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エゾコザクラ

広大なカルデラ縦走路

 縦走路は間宮岳への登りへと進む。間宮岳に登頂すると、「御鉢平」という巨大な火口が姿を現す。縦走路はこの火口の淵(カルデラ)の上を進んでおり、間宮岳や、これから通過する北海岳などは、巨視的に見れば、このカルデラの一起伏に過ぎないことが一望できる。かつて、ここには富士山のような円錐状の火山があったと考えられるという。約50万年前に大規模な噴火を起こし、その際にこの巨大なカルデラができたそうだ。元あった太古の火山を想像すると、富士山よりもはるかに大きい。これまでの登山で見てきた風景とは、スケールが段違いである。しばらく呆気に取られ、足が動かなかった。

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御鉢平 巨大なカルデラ

白雲岳から白雲岳避難小屋

 北海岳からは、巨大なカルデラ縦走路を離れ、白雲岳方面に向かった。白雲岳は縦走路から少し外れる。その分岐点までの道中、雪渓をいくつか通過した。やはり表面は融けており、キックステップで十分にグリップする。ただ、白雲岳への登頂だが、すでに陽も傾き始めており、泣く泣くパスすることにした。

 白雲岳分岐から白雲岳避難小屋までは、約30分のコースタイムである。時刻は午後4時、少々のんびりし過ぎたようだ。

 白雲岳避難小屋が見えてきた。併設のテント場にはすでに多くのテントが張られている。

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白雲岳避難小屋とキャンプ指定地

 この小屋は純粋な避難小屋といった位置付けである。日本アルプスにあるような営業小屋と違って、食料などの補給はできない。明日宿泊する予定のヒサゴ沼避難小屋も同様である。ゆえに、食料計画は綿密にする必要がある。また、水についても、湧水をそのまま飲むことは危険である。エキノコックスという伝染病を予防するため、煮沸やろ過フィルタを通すなどの処理が必要である。私は燃料を多めに持参し、都度水を煮沸していたが、これにはかなり時間を要した。煮沸した後、冷まさなければならないからだ。ろ過フィルタを用いたほうが良かったかもしれない。

 大雪山の縦走は、宿泊での登山の経験が浅いと、少々大変かもしれない。しかし、逆に、これが非日常感を増幅させている。北アルプスなどではあまり味わえない感覚で、麓に降りるまでずっとワクワクが止まらなかった。